医療方針
お産は受胎から出産まで、あるいは陣痛開始から赤ちゃん誕生まで、いずれも42.195キロを走るフルマラソンのようなものです。
受胎そのものもヨーイドンで、何億の精子という選手が一斉に走り出し、一番にゴールしたものが、卵子と一緒に手をつないで、次の誕生というゴールに向かうのです。マラソンランナーがスタートラインに立つ前に準備を怠らず、長いレースをいかに走り抜くかを組み立てるように、妊婦さんも赤ちゃんという金メダルを自分の胸に抱く歓びを得るために、毎日をその目標に向かって、よりよい日々を過ごしてほしいものです。そのために産科医である私や、看護スタッフはある時は監督であったり、沿道の応援団であったり、背中を押してゴールまで連れて行ってあげる伴走者の役目をします。でも、あくまでも主役は妊婦さんあなた自身で、このレースは途中で棄権することができないのです。
私はすべての妊婦さんに金メダルをあげられるよう、自分自身もよりよい監督でありたいと努めます。
ところで私は自然分娩を理想と考え、自然の陣痛の始まるのを待って、お産のスタートラインに立ってもらうようにしています。妊婦さんもほどよい痛みが始まるともう覚悟も決まるようでお産に立ち向かう心の準備も整うようです。
自然の陣痛を待つということは、人間も自然界の生物の一員ですからどうしても夜中、もの皆寝静まった頃、陣痛開始、明け方のお産というのが最も多くなります。したがって当院の誕生室はいつも明かりが灯り、産声が響いているということになり、私の睡眠は何度も「お産です」の呼び声とともに中断されることになります。これも産科医の宿命と考え、あくまで母体の安全を優先させます。
陣痛促進剤の使用については、その必要性が生じた場合、厳重な監視の下、使用いたします。
マラソンの途中で妊婦さんの口から、苦しさに耐えられず、ごくまれに「もう切って下さい」と言う方がいます。レース途中で車に乗ってゴールまで連れて行ってくださいということです。この方法はある種とても簡単な方法です。妊婦さんのわがままを聞いて即帝王切開にしたら産科医は、短時間に赤ちゃんを取り出せるし、すばやい対応に感謝されるかもしれません。しかし、帝王切開適応でもない妊婦さんに安易に手術を行うことはいたしません。それは母体に大変なリスクを負わせることになります。たとえば肥満など妊婦さんの体も欧米化の傾向があり、手術後の肺塞栓(血栓が肺に飛び、呼吸困難を起こし、致死的な状態になる)のリスクは侮れません。
私は経膣分娩にまさるものはないと考えています。そのために最新の医療機器をととのえ、医療スタッフを教育し、技術の向上、妊娠管理体制の強化に努め、帝王切開率の減少に日夜努力しています。因みに当院の帝王切開率は全出産数の約5%です。特に初産婦の骨盤位(逆子)は、安易に帝王切開を行いません。足位の逆子でもオバタメトロを使用し、経膣分娩を行い、骨盤位の90%を経膣分娩しています。初めてのお産で帝王切開を行うと、2度目、3度目も帝王切開になる確率は高くなります。もちろん、緊急必要限の帝王切開は、真夜中であろうと即対応可能な体制を整えて、日夜お産に向かっております。
おなかの赤ちゃんと共に始まったマラソンレースが、沿道の応援に励まされ、無事完走し、ゴールには元気な赤ちゃんと、一緒に走ってくれたパパがいる、そんな感動的なお産を当院でぜひ体験してください。
診療方針は
もご参照下さい。
当院における出産体制について
当院では全ての分娩を、『産婦人科医師』が「出産取り上げから胎盤娩出まで責任を持って行っております。
「チームひらしま」看護スタッフは、豊富な経験を持って、分娩までの経過観察を、医師の指導のもと、一瞬たりとも妊婦さんから離れないを鉄則に、"寄り添い""見守り"をします。
「出産」という人生の一大事業の主役は、「妊婦さん」と「赤ちゃん」です。
私たちは、監督およびサポーターとして精一杯頑張ります。
当院では、自然(経膣)分娩を第一と考え、帝王切開については「適応と要約」を厳格に守り、必要最低限にするため、日夜努力を重ねております。
特に 逆子(骨盤位)分娩については、豊富な経験と産科医療技術を駆使して、経膣分娩に努めています。
特に、初産の安易な帝王切開選択は、次回の妊娠分娩においても母体への多大なリスクを負わせることになります。
帝王切開の母体におよぼすリスクは経膣分娩の比ではありません。
私は、逆子は帝王切開適応とは考えておりません。当院ではほとんどを経膣分娩しております。
胎盤早期剥離、破水、早産の危険を伴う、外廻転術は行いません。
また、妊婦さんへの苦痛を伴い、早産の危険性もあり、医学的エビデンスのない、
逆子矯正体操などは、行っておりません。
出産直前に自然に頭位に戻るということも何例か経験し、リラックスしてお産を迎えることが、
何より大事と考えます。
22年間で291件の骨盤位経膣分娩(全骨盤位の75%)を行い、 そのうち211例はオバタメトロ使用により、
188例成功しました。
全て健児を得ました。
(2009・11月産婦人科治療vol.99no。5-2009/11 「22年間の当院における骨盤位の分娩管理-特にオバタメトロ
使用の視点から」 、「10年間の骨盤位分娩117例の臨床的検討」平嶋昇 10周年記念誌 p85~88)参照
しかし、帝王切開適応と判断した時は、即時に麻酔科専門医を招き、産婦人科医2名との医師3名体制で臨みます。
緊急帝王切開にも迅速に対応しております。
未熟児誕生が予想される場合は、埼玉県立小児医療センター等の未熟児・新生科医立ち会いのもと行い、
直ちに「児」搬送を依頼します。
埼玉県上尾市の産婦人科、ひらしま産婦人科・皮膚科 お問い合わせは
TEL 048-722-1103 予約優先
平日 午前9:00~12:30、午後2:30~6:30
土曜 午後5:00まで、
日曜 午前10:00~午後1:00、木曜、祝日休
〒362-0021 埼玉県上尾市原市1464
FAX 048-722-1146