皮膚科コラム お肌の話 第3回 「妊娠と皮膚の変化」
毎日暑い日が続いていますが、夏風邪などひいていないでしょうか。
今月は「妊娠と皮膚の変化」です。
特に妊娠に伴う生理的変化、妊娠特有の皮膚の病気ついてお話したいと思います。
(1) 妊娠線
胸、おなか、お尻、太ももに好発し、赤紫あるいは赤褐色の線条になる。
妊娠線は、体重増加に伴う皮膚の過伸展による弾性線維の断裂と、
妊娠によるコルチコステロイドの線維芽細胞増殖を抑制する作用により生じる。
妊娠線予防について
妊娠線を完全に防ぐ事はできませんが、以下のことに気をつけて下さい。
・ 急激な体重増加。急激に太ると腹壁が伸びて妊娠線はできやすくなります。
・ 妊娠線ができやすい部位を保湿します。乾燥すると、妊娠線ができやすくなります。
マッサージクリームで妊娠16~17週頃から1日2回朝と入浴後に乳房、おなか、腰、お尻、
太ももにマッサージをして下さい。
(2) 妊娠性色素沈着
乳輪、脇の下、陰部、肛門の周り、腹部正中線に生じる。妊娠初期に出現し、分娩後軽快する。
(3) 妊娠性肝斑
ひたい、眼の周り、頬、口周りに左右対称に生じる。
(4)毛細血管拡張性肉芽腫
妊娠中期以降で生じる。頭皮、顔、口唇、歯肉、手指などに鮮紅色~暗赤色の腫瘤で、
しばしば出血する。妊娠中に出現し、分娩後消退する。
(5)妊娠性歯肉炎
妊娠初期から生じる。軽症例も多い。
(6)手掌紅斑
妊娠初期に出現。日本人ではまれ。
(7)くも状血管腫
眼の周り、首、腕に多い。分娩後2~3ヶ月で消退するが、残ることもある。
(8)多毛
妊娠初期から生じ、分娩後消失する。
(9)脱毛
分娩1~6ヶ月後に頭部全体に脱毛(びまん性脱毛)がおこることがある。
分娩に血中エストロゲン濃度が急激に減少するために脱毛がおこるが、
半年~1年で自然に回復する。
※ 妊娠に特有の皮膚疾患
(10)妊娠性痒疹(ようしん)
2回目以降の妊娠に多い。全身に痒みの強い丘疹(ぶつぶつ)が多発。分娩後消退する。
(11)PUPPP(pruritic urticarial papules and plaques of pregnancy)
主として初産婦に多い。妊娠後期に好発。妊娠線とその周囲に初発することが特徴。
痒みの強い、じんましん様の丘疹、紅斑が多発。分娩後消退。多胎妊娠に高頻度。分娩後消退。
(12)妊娠性疱疹(ほうしん)
妊娠中期~後期に発症。体を中心に小水疱を周囲に有する浮腫性紅斑が多発。分娩後消退。
(13)妊娠性皮膚掻痒症(そうようしょう)
妊娠後期にみられる全身の痒みで妊娠に伴う肝内胆汁うっ滞が原因とされる。分娩後消退。
妊娠中に気になる皮膚症状がある時は、ひらしま皮膚科の診察を受けて下さい(電話予約制)。来月は「赤ちゃんの皮膚」についてのお話です。お楽しみに。
皮膚科 平嶋 海帆
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