皮膚科コラム お肌の話 第4回 「陰部の皮疹」
まだまだ寒い日が続いていますね。
今回は、ついつい受診が遅れてしまう「陰部の皮疹」のお話です。
「陰部」の皮疹は、診察に抵抗があり、また何科を受診すればいいのか分からず、数年放置している患者さまが多くいらっしゃいます。悪性疾患の場合もあります。
まずは、皮膚科を受診して頂くことをお勧め致します。
当クリニックは女性医師です。また、産婦人科の内診台もあるので、腟周辺の皮疹も診察することができます。婦人科疾患であれば、当日、当院婦人科に紹介致します。
それでは、特に皮膚科外来で診察することの多い疾患、注意して頂きたい疾患を挙げます。
陰部の痒みがあるとき
- 湿疹
- 外陰腟カンジダ症
- 細菌性腟症
- 老人性皮膚そう痒症
など診察することが多いです。
- 湿疹:掻爬により慢性化していることが多い。ステロイド外用。
- 外陰腟カンジダ症:酒かす様のおりものが特徴。抗真菌薬外用と腟錠による治療が必要。
- 細菌性腟症:痒みを伴わない事もあるが、おりものあり。抗生剤外用または内服。
- 老人性皮膚そう痒症:高齢者の皮膚は乾燥化し、外的刺激に対する抵抗力が低下し、そう痒症が起こりやすい。保湿剤やステロイド外用、抗アレルギー剤の内服が有効なことがある。
陰部の痛みがあるとき
- 性器ヘルペス
- 炎症性粉瘤
を診察することが多いです。
- 性器ヘルペス:性器、外陰部の広い範囲に小水疱が多発し、痛みが強い。抗ヘルペス薬の内服が著効。
- 炎症性粉瘤:もともとしこりがあることが多い。そこに二次感染を起して、腫れや痛みを生じる。抗生剤内服。根治には外科的切除。
自覚症状のない場合
- 乳房外Paget病
- 尖圭コンジローマ
などが考えられます。
- 乳房外Paget病:最も注意したい悪性疾患。表皮内癌。湿疹だと思っていたら乳房外Paget病で、放置により進行し、リンパ節転移することもある。治療は広範囲切除。
- 尖圭コンジローマ:カリフラワー状の疣状丘疹が多発。液体窒素による冷凍凝固やイミキモドクリーム外用療法。
「陰部の皮疹」は、以上のような皮膚病が考えられます。
恥ずかしがらずに、まずは皮膚科を受診して下さいね。
皮膚科 平嶋 海帆
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