ひらしま産婦人科 最新情報
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平成21年9月から11月 骨盤位の経膣分娩 難しいとされる 3症例報告
オバタメトロ使用が
- 軟産道強靭
- 足位が臀位に変更
- 前期破水・微弱陣痛に対して有効
で経腟分娩に成功した3症例を報告します。
症例1 軟産道強靭にてオバタメトロ2回使用が有効で経腟分娩に成功
31歳初産婦 妊娠37週5日 先進部臀部子宮口閉鎖 展退30%
頚管熟化の目的でプロスタルモンE24錠内服、軟産道強靭にてオバタメトロ2回使用
38週0日 子宮口1p開大
38週1日 プロスタルモンE2 5錠内服
38週4日 先進部臀部子宮口1.5p 展退50%オバタメトロ150CC挿入
24時間後メトロ脱出5p開大。自然陣痛発来を待つ。
38週6日
PM 7:40オバタメトロ300CC挿入 子宮口開大4p
AM 0:00メトロ脱出 開大7〜8p開大
AM 8:03よりオキシトシン点滴開始
AM 10:20 9p開大
AM 10:56 複殿位で3,250グラムで男児出産。肩甲上肢解出時間25秒
後続児頭娩出時間5秒 児頭と頸椎の角度102°Aps.9―10 臍帯動脈血PH7.293 娩出時、オキシトシン1単位ワンショットで静注。
マイリス200r4回使用。(妊娠37週0日から妊娠38週後まで)産科真結合線13.7p 濶部前後径13.7p BPD9.8p
前後径12cm分娩所要時間12時間16分
考察1
骨盤位の場合、軟産道強靭は原則経腟分娩は避けた方が良いが、オバタメトロ2回使用が
頚管熟化に非常に有効であり経腟分娩に成功したと考えられる。
症例2 足位がオバタメトロ使用にて臀位となり経腟分娩に成功
38歳2経産婦 定期健診で妊娠37週0日 来院 先進部 足 子宮口 3p開大 展退50% 直ちに入院
PM 1:55 足位の適応でオバタメトロ500t挿入と同時に陣痛開始
PM 5:00 メトロ脱出 全開大
PM 5:15 オキシトシン点滴開始
PM 6:48 単臀位で2712グラム女児出産 肩甲上肢解出時間19秒 後続児頭娩出時間5秒
児頭と頸椎の角度90°Aps.9―10 臍帯動脈血PH7.324 娩出時、オキシトシン1単位ワンショットで静注。
産科真結合線13.7p 濶部前後径15.8p BPD9.5p 前後径11.0cm
分娩所要時間4時間53分
考察2
骨盤位足位は帝切とされるが、オバタメトロ500cc使用により臀位となり経腟分娩に成功した。
足位が頭位に1例、臀位に4例、複殿位に5例なった症例を経験した。
(1996.1.1〜2008.9.30)たとえ臀位、複殿位にならなくても、メトロ脱出時子宮口全開大であり
強力な陣痛(オキシトシン点滴ワンショット静注)をつけることにより、足と臀部がほとんど同時に娩出してくる。
症例3 31歳初産婦 前期破水に陣痛促進しメトロ使用が有効であった症例
34週1日 他院より経腟分娩希望にて転院。切迫早産にて直ちに入院
ウテメリン点滴で陣痛抑制開始
37週1日 退院 先進部臀部で1.5cm子宮口開大 展退60%
37週5日
AM 6:25 破水で来院 2cm開大 羊水漏れる 卵膜あり。
AM 8:52 4cm開大 展退70%
AM 6:30 陣痛開始
AM 9:26 陣促の目的でオバタメトロ150cc挿入 子宮口開大5cm
AM 11:30 メトロ脱出 子宮口開大8cm
PM 1:02 オキシトシン点滴開始
PM 1:14 臀位にて2596グラム男児出産
肩甲上肢解出時間15秒 後続児頭娩出時間2秒 児頭と頸椎の角度95°Aps.9―10 臍帯動脈血PH7.332
娩出時、オキシトシン1単位ワンショットで静注。
産科真結合線13.0p 濶部前後径13.0p BPD9.5p 前後径11.5cm 分娩所要時間6時間44分
考察3
前早期破水は、メトロ原則禁忌であるが、卵膜がある高位破水では、使用できる。
オバタメトロは微弱陣痛促進にも有効である。27例(2004.1.1〜2008.9.30)に使用し全例経腟分娩に成功した。
参考文献
平嶋昇 22年間の当院における骨盤位の分娩管理―とくにオバタメトロ使用の視点から−
vol.99.no.5-2009/11 産婦人科治療 永井書店
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