最新情報、PHOTO MONTHRY DIARY 56号
フォト・マンスリー ダイアリー 2015年7月号
年1回発行の「上尾医師会報 第127号 JULY 2015」に、私の日常生活の一部をご紹介した
エッセー「ぼくはいきものがかり」が掲載されました。ご一読ください。
ぼくはいきものがかり 平嶋昇
明け方というよりまだ夜の明けぬ真夜中から我が家の鶏たちの鳴き声が
原市の森に木魂して、早々と一日の始まりを告げる。
家内は何でやっと眠りに入ろうとする時、けたたましい鳥の鳴き声に安眠を妨げられるのと怒っている。
一方陣痛の苦しみに耐えている妊婦さんは、コケコッコーに励まされ、癒されるといってくれる。
7時半、診療開始前のひととき、丸池の錦鯉たちが勢いよく泳ぎ回っているか、滝は流れているか確認して、
エサを池に投げ入れてから、診察室に向かう。
午前の診療が終わると、残飯の入ったごみ袋を両手に下げて、自宅にもどる。
庭に出てアヒル・金鶏・岡崎紅斑・烏骨鶏・チャボ・アローカナ・シルバーゼブライト・
コジュケイたちにエサをあたえる。
次に、庭のあちこちに産み落とされている卵を拾い集める。
そのうちの一つを使って、バナナ・牛乳・うみたて卵、館山のハチミツ・氷を入れてミキサーにかけ
「ひらしま特製ミルクセーキ」ができあがる。これが僕の“元気のもと”。
動物の世話など全くしない家内も、アンチエイジングニに効くとか言ってちゃっかり飲んでいる。
午後は副院長が診療担当の日は、父の日にプレゼントされたつなぎの作業服に着替えて、
マスクをし、鳥小屋の掃除をする。
家内に臭い臭いと文句を言われながら、養鶏場の人の苦労を身に沁みながら、もくもくとホースから水を流し続ける。
やっと一休みしていると、黒柴犬リュウがガラス戸を前足で思いっきり引っ掻いて散歩の催促をする。
やれやれとアクアに乗せて、近くの公園に連れていって遊ばせる。
家に帰る頃、飼っているコジュケイの、「カエチョクレ」の鳴き声が森に木魂して、
それに応えるように、森の奥から「カエチョクレ」と返事がくる。
こうして、ぼくの“いきものがかり”の一日も終え、ビールでのどを潤す。
しかしいまでも月7~8回の当直の夜は、「お産ですよ」の電話に飛び起き、誕生室に駆け上る。
家内は、「それこそがあなたの究極の生きものがかりのお仕事でしょ。」とのたまう。
「WOMEN’S CLINIC IN FOREST」で、半医療・半養鶏生活は結構楽しい。
卵から雛が孵る瞬間、人間の赤ちゃんが生まれる瞬間に立ち会える仕事は胸躍り、
生命の神秘を日々感じることができる。
いきもの万歳!
付記:「生きものがかり失格」
その1 丸池の錦鯉が全滅の巻
時々池の水を入れ替える。ところが、これまで2度ほど、池の水を抜いていることを忘れ、
夜中見回りの当直者が水のなくなった池で、全員横たわっているのを発見。
10尾もの丹精こめて大きくした錦鯉が全滅した。
翌日家内が“ペット119番”に連絡して、火葬し、「錦鯉ちゃんのお骨」と書かれた骨壺が我が家に戻ってきた。
仏壇の隣に並べた。
先日も同じことをして、今回は発見が早く、1時間半かけて鯉を蘇生し、何とか息をふきかえした。
家内に学習しないからだとまたまた怒られた。
その2 シルバーゼブライトが襲われた。
明け方、またまた当直者にたたきおこされた。
庭の片隅で、隠れるようにして、必死に12個もの卵を抱いていたシルバーゼブライトが、何者かに襲われて、
番犬リュウが異変に気付いてかけつけた時はすでに遅く、事切れていた
雛にかえる寸前の卵は全てなくなっていた。
カラス? ハクビシン? タヌキ? いまだに犯人はわからない。
雌はやられ、雄は足を怪我し、翌日亡くなった。
絶滅かと思われたが、僕が彼らの卵のうち2個を烏骨鶏に暖めさせておいたため、
数日後2羽のヒヨコが烏骨鶏のお腹の下で産声を上げていた。
この雛たちは‘烏骨鶏’を親鳥と慕っている。まさに「生みの親より育ての親」だ。
ところで、HIRASHIMA FARM で獲れた『うみたて卵』は、お産を終えたお母さんたちに、
「旦那様に食べさせて、次回妊娠への準備を始めてください。」と退院時手渡している。
シルバーセブライトの雛(生後2週間) |
金鶏(雄)目下雌と別居中 |
平成27年5月20日のうみたて卵
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