埼玉県上尾市,さいたま市,伊奈町,桶川市,蓮田市の産婦人科　ひらしま産婦人科

女性の体はホルモンの分泌周期によって、ダイナミックに変化しています。月経前になるとイライラしたり、怒りっぽくなったりするのもホルモンの影響によるものといえます。このような症状は女性ならば多かれ少なかれだれもが経験があるようですが、症状がひどく日常生活に支障があるような場合は、一度専門医へ相談することをおすすめします。

*月経前のイライラや腹痛は女性ならばだれもが経験あるが…

 『月経前緊張症』ＰＭＴという病気をご存じですか？　これは月経の７〜10日前に起こり、月経の開始とともに消失し、無排卵の人には起こらない病気です。

　症状としては、頭痛、腹痛、腰痛、乳房痛、顔面や手足のむくみ、下腹部膨満感などがあります。また、精神的なものとしては、イライラ、集中力の低下、疲労感、不安といったものもあり、その症状は人によって異なっています。更年期障害によく似た症状ですが、以下の４点で鑑別できます。１、好発年齢が違う、ＰＭＴは30〜40歳。更年期は45〜55歳。２、ＰＭＴは排卵前には症状がなく、月経開始とともに消失する。３、ＰＭＴでは、ほてり、発汗（エストロゲン低下による）がない。４、ＰＭＴでは、月経前に浮腫著名である。

　症状がひどいと、生活や仕事に支障をきたすようになり、治療の対象となる。『月経前緊張症』という病気とは知らずに、来院する患者がほとんどです。

*原因はどうやら女性ホルモンによるもの!?

　原因はいろいろな説があり、はっきりとしたことはわかっていませんが、無排卵の人には、ＰＭＴは起こらないこと、排卵後７日ごろ（着床の時期）に症状が出現、月経（エストロゲン、プロゲステロン分泌の急激な減少で子宮内膜がはがれ月経となる）発来とともに消失することから、プロゲステロン（排卵前には、分泌されない。排卵後に、卵胞から分泌され、体温を上昇させ、妊娠維持に重要な働きをする）が、ＰＭＴ発症の重要な鍵を握っていると思われます。本来女性は妊娠するために毎月排卵しているわけですが、妊娠が不成立の場合、黄体ホルモン（プロゲステロン）は必要なくなり、それをフィードバック機構で、脳の視床下部（自律神経の中枢がある）は、それを感知し、視床下部は、ホルモンのバランスの全身器管の調節をしなければなりませんが、30歳を過ぎると全身器管は、老化が始まっているので、その調節が若いときのように、うまくいかなくなるのかもしれません。妊娠に失敗したためのプロゲステロンの変動が引き金になるというのが私の仮説です。そのほかβ‐エンドルフィン説では、エンドルフィン濃度の上昇によって、ドパミさらにドパミンの低下はアルドステロンの分泌増加を起こすため、全身にむくみを起こします。また、エストロゲン過剰・プロゲステロン欠乏説もありますが、ビタミンＢ６欠乏説、ストレスもその原因のひとつといわれています。

*治療方法は各自の症状に合わせて見つける

　治療はいくつかの対症療法がありますが、確立されたものはなく、いろいろな症状に合わせて各自にあった方法を見つけていきます。ピルを数か月間服用し、排卵を抑制することで改善するのもそのひとつです。妊娠を希望しないひとは、避妊と治療ができて一石二鳥です。精神症状のひどい人には精神安定剤、腹痛や腰痛には鎮痛剤、むくみには利尿剤などを投与することもあります。また、ストレスが原因ともいわれているので、運動療法でストレスを解消し、やる気を起こさせる方法もあるようです。

 『月経前緊張症』は排卵後に症状が出て、生理が来ると症状が改善されます。それゆえ「生理前の当たり前」と軽く思わずに、ひどい場合は立派な病気だと知っておくことが大切です。もし、排卵直後に症状が出現、生理がきても症状が改善されなけれない場合、ピル無効の場合、内科疾患、精神疾患を考慮しなければなりません。