女性にとって妊娠・出産というのは、実に大変なことです。
最近の若い世代は、肉体的な苦労をあまり知りません。 スイッチひとつでご飯が炊け、お風呂が沸かせるので、肉体的苦労をせざる負えない状況が現代にはほとんどありません。
そんな中、初めて自分から望んで味わう肉体的苦労が「出産」なのです。だから、妊婦さんの中には、痛い思いをせずに、ラクに子供を産みたいから…ということで、マザーズクラス(母親学級)に通う方もいます。 しかし、痛みをまったく伴わない出産は、薬を使わない限り存在しません。マザーズクラスでの第一の目的は「安産」であることを念頭に入れておいてほしいものです。
出産の痛みは、ガンなど病気の希望のない痛みとは違います。新しい生命を生み出すための希望にあふれた痛みです。
だから痛くてもガンバルという気持ちが大切なのです。出産という大業を成し遂げた充足感は、母親になったという自覚や今後の育児への自信、果てはその女性の人生観へとつながっていきます。
男性も出産は女性のものと考えず、腰をマッサージしたり、声をかけて励ましたり、と出産に参加してほしいものです。立合出産は無理でも、妊婦さんに付き添い、我が子誕生の瞬間を共有してみてください。その方が、子供への愛情度合いや育児への協力、妻に対する労わりも違ってくるようです。
マザーズクラスでは、ラマーズ法の練習(呼吸法、リラックス、妊婦体操、マッサージ)分娩リハーサルを行ないます。同時に、「短い人生において、子供を産むという種族保存の意義を理解し、精神的な安定が良いお産につながることになる」と、院長のお話があります。
出産は痛いものと認識し、その不安を解消するのがマザーズクラスなのです。夫婦ふたりで参加し、出産とは何なのかをしっかりと学び、理解しておくことが安産への第一歩です。
母子ともに無事で、良いお産をするための定期的な検診は、胎児と母体の健康状態を知る大切なものです。
定期検診は、胎児と母体の健康状態を知る大切なものです。最近の傾向としては「貧血」と「肥満」に関して、指導することが多くなっています。
若い女性の10人に1人が貧血で、そのほとんどが鉄欠乏性貧血です。これでは母体は常に酸欠状態で、赤ちゃんに酸素が十分にいかず、未熟児や早産の恐れがあります。出産時における出血で、ショック状態に陥る可能性も高くなります。しっかりと貧血を治しておきましょう。
肥満は栄養過剰、運動不足によるものが多く、巨大児の原因となり、難産になる可能性があります。出産時には全身の筋肉を使うので、日頃から適度な運動が必要なのです。
妊娠中の生活では、栄養のバランスがとれた食事を1日3回しっかり摂ることと、適切な運動と十分な睡眠、つまり規則正しい生活を送ることが理想です。