出産を間近に控えた妊娠後期。この時期の過ごし方が、いい出産へとつながる。いつ生まれてもおかしくない、だからこそ気をつけなければならないことがある。
*安全に出産を行なうために総仕上げ期間
妊娠後期とは、妊娠28週目以降のことで、出産を安全に行なうための総仕上げ、総点検をする大事な時期といえます。
中毒症にならないための体重管理、破水、腹痛、子宮口の開き具合などは特に注意したい点です。病院では、妊娠35週になると、分娩監視装置で、子宮の収縮の有無、赤ちゃんの心音、胎動をチェックします。
赤ちゃんは子宮の中で育てるのが一番で、最低でも肺の成熟する33〜34週まではお腹の中にいれておきたいのです。破水した場合は、子宮内感染や胎児感染の危険があるので、妊娠36週になっていれば48時間を最大限に、出来れば24時間以内にお産にしたいものです。
33週以前であっても、感染の兆候があれば、出産に踏み切ることもあります。感染がなければ抗生剤の投与で、なんとか33週目まで持たせようとします。しかし羊水がないために肺が動かず、呼吸ができない肺低形成（羊水が少なくて、３週間以上過ぎるとなる。生まれたとき、肺が成熟していないため呼吸しない）になってしまう可能性があります。人工羊水を入れるか、出産に踏み切るか、判断が非常に難しい点です。
*母体と胎児の状態を調べて出産の準備開始
妊娠後期の定期検診では、分娩監視装置の他、子宮口の開閉、エコーを使って胎児の状態のチェックを行ないます。
子宮口が開き、出血があれば、早産になる可能性があるので入院が必要です。お腹が張ったり、痛みがあれば、早めに病院を訪れてください。
エコーでは胎児の大きさ（体重）を調べます。小さすぎても大きすぎても問題です。巨大児は出産が大変で、４０００kg以上あると、頭が娩出しても、肩が出ない肩甲難産となるので、予定日より早めに出産へ踏み切る場合があります。
予定日が近づくと、初産の人は、骨盤のレントゲンで、骨盤計測し、同時に、胎児の頭の位置と骨盤への侵入方向、回施異常、仙骨の形を調べます。これで難産になるか、経膣分娩可能か、あるていど判断をつけておきます。前回帝王切開で、今回経膣分娩するときは、必須の検査です。軟産道の状態も重要な因子で、子宮頚管（子宮出口）がやわらかく、展退（長い頚管がお産に近づくと段々短くなり最終には、紙のようにうすくなる）が良好であれば、安産につながります。開き具合よりも、展退の方が、最も大切な因子と私は考えています。
*どうやって日常生活を送ればいいのか
妊娠後期の生活についてふれておきましょう。適度な運動は胎児の頭が下がり安産になります。水泳やウォーキングは35週まで、仕事もこの時期まで行ってもいいでしょう。
運動したら、十分な休養も必要です。イライラや疲労感はなくし、精神的安定を得るようにしましょう。不安定のままでは微弱陣痛になります。
食事はバランスよく、きたるべくお産、授乳にそなえて普段より２割アップの１日２１００カロリーが理想です。この時期は食べた栄養が赤ちゃんにいきます。妊娠中毒症、巨大児にならないために、食べ過ぎには要注意です。
セックスは切迫早産になる可能性があるので、控えた方がいいでしょう。遠出もいつ出産が始まるかわからないので避けたいですね。里帰り出産の方は35週には帰るようにしてください。そして37週を過ぎたら、入院準備も忘れずにしておきましょう。
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